今日は最近読んだ本を一冊紹介します。
タイトルは「野口整体でみる心と体 愉気(ゆき)便り1 安井誠・安井州子著」
という、それこそ野口整体のことを知らない人には?マークがつくタイトルです。
「愉気」というのは野口整体で提唱している大切な考え方なのですが、
ごく簡単に言うと
人が人に手を当てることで、相手に気を通わせ、お互いの心身が感応して元気になる
ということです。
「気」というところが現代人にはとっつきにくい言葉ですが、
野口整体では、気の力は全ての人が持っている力であり、超能力でも何でもないものとされています。
日本でも最近、
「空気が読めない」と言ったり、
「以心伝心」という言葉は昔からありますが、
人と人がいれば、言葉を介さずに伝わるものがあります。
言葉がなくても、気持ちを感じたり、空気感を感じたりしますね。
この感覚は、西洋人ならともかく、日本人ならわかると思います。
「愉気」とは
相手に手を当てることで、相手と気の流れ、エネルギーの流れというものを作っていく。
それが、お互いの心や体の緊張をゆるめて、働きを良くして、もともと人間なら持っている「自然治癒力」「自然調整力」をより発揮させる。
というものです。
何かスピリチュアルというか、宗教的なものととらえてしまう人もいるかもしれませんが、
スピリチュアルでも宗教的でもなんでもありません。
親しい人や好きな人に手を当ててもらったり触ったりしてもらうと、元気が出てくるのは
誰でも感覚としてわかると思います。
愉気もそのような感覚です。
誰でも自然に体を調整する強力な力を持っていますし、
誰でも、人に気を通わせて強く影響を与える力を持っています。
それを積極的に利用すれば、色々な症状や病気も自然に良くなっていくもの。
という根幹的な考えが、野口整体にはあります。
その上で、色々な症状や病気に対する具体的な調整のスキルとかノウハウがあるんですね。
色々なスキル、ノウハウよりも一番大切なのは、人の自然治癒力、自然調整力の強さを信頼して、愉気をすることでそれを実感すること。
そういったことが、この本で、実際の整体の現場で起こる現象を一つ一つのエピソードにして、興味深く書かれています。
野口整体の、人間の見方がよくわかります。
著者の安井先生のような徹底した整体生活は、私自身なかなかできるものではなく、雲の上の方、という印象ですが、
現代人がすっかり忘れてしまった、大切な人間の知恵、というものは、今でも十分に実践可能であり、
社会全体が、もう少しこのような知恵を学ぶ必要があるのではないかと感じます。
皆様が内容にご賛同されるかどうかはわかりませんが、「人間の本質」というものに興味のある方は、ぜひ一読してみることをおすすめします。