皆さんは「上虚下実」という言葉を聞いたことがありますか?
「じょうきょかじつ」と読みます。
上虚下実は古代の中国から由来する教えだと言われていますが、
簡単に言えば、上半身を「虚」の状態、つまり余計な力が抜けた状態にして、
下半身を「実」の状態、つまり力を充実させた状態にする、
ということです。
イメージしやすい感じで言えば、
頭や首、肩や胸などの緊張をできるだけゆるめて、
代わりに
腰を十分に伸ばして、下腹の「下丹田(しもたんでん)」と言われるヘソよりも下の部分の力を保って、
呼吸も、胸で浅い呼吸をするのではなく、下腹で深い呼吸をする。
腰と丹田を中心とした下半身に力が集まっているイメージです。
こうすると、肉体的にも心理的にもどっしりと安定した状態になります。
現代人は、
昔の人と比べて、
頭や眼を酷使したりすることが多いために、頭、首や肩、胸の緊張が強くなりがちな生活をしています。
そうなると、下半身の力が逆に抜けてしまって、どっしりと安定した状態ではなく、肉体的にも心理的にも不安定な状態になりやすいとされています。
実際に、頭に血がのぼった状態の時は、精神的にも不安定で、すぐにカッとなったり、感情が爆発したりと、自分の感情をコントロールしにくい状態になります。
私自身もそういう時はあるので、
そんな時はつとめて、上虚下実を保つように気をつけています。
上虚下実の状態を維持できている時は、
肉体的にも精神的にも安定するので、ストレスを受けにくい状態になります。
皆さんも試されてみれば実感できるのではないでしょうか。
私が学び続けている「整体」では、いつも正座をするのですが、
上虚下実の状態を作るのに、最も簡単なのは正座をして腰をちゃんと伸ばすことです。
正座に慣れない方は、すぐに疲れてしまうかもしれませんが、
短時間でも、上虚下実の状態を作るようにすると、
自分の「安定した状態」がわかってきます。
上半身の力を抜いて、下半身を充実させること。
セルフメンテナンスにおいても大切なポイントです。